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「アジャイルな見積りと計画づくり」を読んだ感想

読んだ本

アジャイルな見積りと計画づくり

結論

  • 読んで良かった
  • 読みやすく、読んでいて楽しかった
  • アジャイル開発における概念、捉える観点、具体的な手法がバランスよく知れる
    • 組織やチームのリーダーだけでなく、開発に関わる全ての人に読む価値があり、読むべき
  • すぐに実践できるような具体的なアクションプランが提示されている
  • 筆者の実体験などから、企業における実際のビジネスや開発現場に目を向けて書かれており、絵空事のような内容になっていない

読もうと思った経緯

現職の必読本として挙げられていることや、アジャイル開発の経験が少なく体系的な知識を学習しておきたいと感じていたため読みました。

読んだ感想

ざっくりとは最初の結論の通りですが、もう少し詳細に書いてみます。

読みやすく、読んでいて楽しかった

私は学習のために厚めの書籍を読むのが正直苦手なのですが、本書はとても読みやすい文章と構成、そして続きを読みたくなるような興味深く楽しい内容になっていました。そのため、読み始めてから読み終わるまでかなりスムーズでした。こういった本はモチベーションが上がるのでとてもありがたいです。

内容の理解のしやすさには前提知識の把握有無が大きく影響すると思いますが、私はアジャイル(スクラム)開発をすでに多少経験しているので、比較的内容が頭に入ってきやすかったという側面はあると思いました。なので、全く前提知識がない状態であれば理解に苦戦する可能性もあると思います。

そういう意味で考えると、開発経験自体が少ないとさらに理解が難しくなりそうです。とはいえ開発経験が少ない人がこの本を読もうと思うケースはそこまで多くなさそうな気がしています。もしまだ理解が難しいと思ったら、ある程度の開発を経験後に再度読んでみるのはどうでしょうか。

アジャイル開発における概念、捉える観点、具体的な手法がバランスよく知れる

概念

「アジャイル」という抽象的な概念について考えるとき、具体的に解釈するのが難しいときがあると思います。少なくとも本書では「アジャイルな見積りと計画づくり」についての具体性を提示してくれています。そもそも、開発についての文脈における「アジャイル」とは、ほとんど「見積りと計画づくり」に帰着するのではないかとすら思います。

見積もりと計画づくりがアジャイルでないのに、プロジェクトがアジャイルであるということはありえない。
本書 23P 抜粋

観点

ネットで「アジャイル」「アジャイル開発」などと検索すると、「短いサイクルで細かく価値提供を目指し、変化や予測困難な課題へ対応していく」というような説明をよく目にします。これはまさにその通りで何も間違ってはいないのですが、我々が普段仕事する環境にどのように落とし込まれるものでしょうか?これははっきり答えるのが難しい人もいると思います。

本書における解釈の一例としては、ストーリーポイントにより相対的なタスク量の見積もりを行い、スプリントの繰り返しによって精度を上げたベロシティによってリリースの予測を行う、というものです。この場合における価値とは「求められている機能をリリースする」「リリース予定日を精度高く予測する」「プロジェクトをより確実に遂行する」というものだと思います。イメージされやすいのは実際にエンドユーザーに提供される事柄ですが、それ以前に社内のステークホルダーへ価値を提供することは大事なことです。

普段仕事する中で開発者によっての直接の顧客は会社であり、会社においてプロジェクトに責任を持っている人々だと思います。本書ではそこについても重きを置いて書かれているため、実際に働く人々にとって納得感の高い内容になっていると思います。

手法

タスクを見積もり、スケジュールを予測する、ということは大事だと皆が分かっていることですが、同時に難しくてどうしたら良いかわからないものでもあります。本書ではプロジェクトの中で具体的にどうすることでそれらを実現できるのかについて細かく言及しています。

例えばウォータフォール開発ではWBSをよく作成すると思います。これはタスクに対して作業者の名前と作業をこなす時間が書かれているものです。具体的な内容を表現できるので、これを見た人は作業計画とそこから算出されたリリース予測について一旦納得するかもしれませんが、実際のところ書かれた計画通りに進むことはなく、多くの場合は大きな乖離が生まれていきます。これに対してアジャイルな見積もりでは、タスクのボリュームをストーリーポイントと呼ばれる他タスクとの相対値で設定します。そして、スプリントごとに消化したストーリーポイントを平均化していくことでベロシティを出します。作業実態から計測されたベロシティから残りのスプリント数を計算することで、精度が高く明確な根拠を持ったリリース予測を行えます。

ただし、ベロシティはスプリントをこなしていくことで徐々に精度を上げていくものであるため、プロジェクト序盤は一定の幅を持たせた予測でリリースの約束をする、そしてプロジェクト後半になると精度が高まっていくのでより振れ幅を小さくして約束できる、といった実際的な方法も書かれています。

ここで書いたのはあくまで一例ですが、今すぐ実践するための具体的な手段が丁寧に説明されていることが分かっていただけたかと思います。

絵空事のような内容になっていない

前述でも度々触れている通り、本書は実際のビジネスや開発現場での事情をしっかりと前提に置いて書かれています。そのため理想論ではなく、ステークホルダー全体が納得感を持ち、地に足つけてプロジェクトを進めていくことに意識が向けられています。見積もりと計画づくりに関する具体的な方法や選択肢を提示しており、実際に筆者が携わったプロジェクトの中で実践されている内容となっているので、読んでいてイメージがしやすく納得感も高いです。

本書の最後に書かれている「新たにアジャイルな見積もりと計画づくりを取り入れることになったゲーム開発チーム」のストーリーは、それまでに書かれた説明を実例に落とし込んだ例としてとても分かりやすく、物語として楽しく読める内容になっています。

終わり

この記事ではあまり具体的内容を細かく列挙したりはせず、感じたこととその一例という形で書きました。具体的な内容が気になった方はぜひ本書を買って読んでみてください。アジャイル開発に携わる方やこれから取り入れたいと考えている人には、間違いなく読む価値のある本です。

私もまだアジャイル開発に慣れていない段階なので、これから本書の内容を実践しつつ読み返すことで、自身の血肉にしていきたいと思います。

本の感想シリーズ第5弾でした。過去の感想記事も良ければ読んでみてください。「本を読んだ感想」タグから参照できるようになってます。

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datsukan

24歳。埼玉県在住。東京都のSaaS企業でバックエンドエンジニアとして勤務しています。

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